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ダーウィンの神聖なる動機 なぜ「種の起源」を書いたのか

 この3連休を利用して、体育の日なのに読書三昧で

分厚い「ダーウィンの信じた道」(NHK出版)

および

 びっくり仰天の「建築する動物」(青土社)

を読んだ。前書は、ダーウィンは、航海に出る前から奴隷制の残虐性に心を痛めていたが、実際に航海してますますその意識が強くなり、奴隷制廃止に向けてその科学的な根拠を示したかったというのが「種の起源」執筆の動機だったというもの。

 いずれも翻訳書で、原著者はイギリス人。今年一番の出合いの書となりそうだ。前書についてもう少し詳しく言うと、奴隷制度の残虐性に心を痛めていたダーウィンが、白人とニグロはそもそも別々の系統であるという奴隷制度の根拠や、だから、酷使しても問題はない、むしろ虐待するほうがニグロにとっても幸せなのだという奴隷制擁護論者の主張を科学的にダーウィンは論破しようとした。白人もニグロも同一系統=人類単一起源論であることを、ウォレスの突然の論文が届いたのを機会に、大急ぎで「種の起源」としてまとめた。このことをさまざまな個人メモや手紙から論証している。奴隷制擁護論者の多起源論を論破し、さらに、人類だけでなく、生物全体にまで拡張し、生物の共通の祖先という考え方を提示した。しかし、これは、種は造物主が創造したものであり変化しない、人間はいくら過去にさかのぼっても人間であり、サルやゴリラのような類人猿には行き着かないという聖書の教えと矛楯する。このことを考えると、元題名「ダーウィンの神聖なる動機」が成功しているかどうか、微妙だが、なかなかの力作であることは間違いない。

 後書は、道具を使ったり、つくったりするのは人間だけという考え方を木っ端みじんに打ち砕く本だ。なにしろ、脳がないはずのアメーバのような単細胞でも、タコつぼのような自分用の微小な住居をつくるし、アリのような脳らしい脳のない生物でも、実に理にかなった見事な空調設備のととのった巨大ビルのような巣を「建築する」というのだから、驚く。

 この本を読むと、生物の進化が、ひたすら周りの環境に引きずられてきただけという見方はあまりに皮相的にすぎると感じる。現在一般に受け入れられている外圧一本やりの受動的な進化論から、自ら積極的に、つまり内発的に造り替える主体性の進化論をもっと考えてもいいように思う。「変わるべき時が来たら、一斉に種は変化する」。今西進化論の再考が必要ではないか。

 ダーウインは、こうした主体性の進化論の可能性を否定してはいない。ダーウィンは昆虫少年であったし、観察に基づいて進化論を組み立てているからだ。同時代に生きた、これまた克明な昆虫観察を30年にわたって行ったフランス人昆虫観察家、アンリ・ファーブルは、その観察経験から、ダーウィン進化論には懐疑的であったという。昆虫の進化には主体性があると直感していたように思う。わかる。

 内圧的な、つまり主体的に体制を変える具体的なメカニズムとはなにか。

 それは、蓄積された突然変異を発現させる多重フィードバック

ではないか。このことは「逆システム学」あるいはさまざまな動物を対象にした解剖学「遺体科学」からも、支持されるのではないか。

 そんな妄想が、二册の本を読みながら、浮かんできた。2009.10.13

 種は変化するというのがダーウィン進化論。事実であろう。問題は、種の変化の原因は、自然淘汰や性淘汰というダーウインの漸進的な要因だけでなく、ある条件が満たされた場合、種の中の個体それぞれが、一斉に主体的に自らの体を、蓄積した突然変異を総動員して変化させるという劇的な進化もあるのではないか。ダーウインの漸進的な進化は、生物進化の初期段階で起こるのに対し、種の短時間の劇的な進化は、生物進化の比較的に後の段階で起こるというように、進化のメカニズムは、時間とともに変化すると考えられないか。突然変異の蓄積が比較的に進んだ段階では、後者のメカニズムが有効に働くと考えたい。こう考えると、生物進化のスピードが、次第に速くなるのもうなづける。

 それは、ともかく、いずれの本も、進化論再考の重要な手がかり与えているように感じた。2009.10.13

 追記

 現生人類の起源については、最近まで、単一のアフリカ起源説と、世界各地の原人がそれぞれ別々に新人に進化したとする多地域起源説が対立していた。しかし、1999年1月には、単一アフリカ起源説に軍配が上がったようだ。

 というのは、「現生人類は十万年~15万年前にアフリカ(東部)に出現し、その後世界各地に広がっていったことを示す大規模なDNA分析を、米ペンシルベニア州立大のサラ・ティシュコフ博士らが米科学振興協会年次総会で発表した」(1999年1月24日北國新聞=ワシントン共同)からだ。記事は、大規模調査がアフリカ起源説を支持したことで、論争に終止符を打ちそうだと伝えている。この結果によると、ジャワ原人や北京原人は、現在の日本人などアジア人の祖先ではないことになる。これらの旧人は、何らかの原因で絶滅したことになる。その後、改めて、アフリカから、世界各地に広がり、現在の人種が形成されていったことになる。

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