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チンパンジー、見返りがなくても利他行動 

 最近、進化論にまつわる話を綴ってきたが、

 道具を使ったり、さらに道具づくりをするのは人間に限らない。鳥にも、チンパンジーにもある

ということを紹介してきた。しかし、人間の好ましい精神は、ほかの動物にはない。たとえば、博愛精神というのは、人間のみだ、と考えがちだ。ところが、きのう10月14日の

 NHKニュースウォッチ9

を見ていて、びっくりした。博愛精神とまでは言わないが、

 見返りを期待しないで、ほかのチンパンジーの利益になることをしている様子

の映像が映しだされていた。遠くにある食べ物をなんとか手前に引き寄せようとしているチンパンジーに対して、隣りの檻にに入れられたチンパンジーが、ステッキをそのチンパンジーに手渡して、手助けしているのだ(互いは、ステッキを手渡す窓はついているものの透明な壁で隔てられている)。お蔭で、ステッキを渡されたチンパンジーは首尾良く、食べ物を引き寄せることができたのだ。ステッキを渡した隣りにいるチンパンジーには、これといった見返りはなかったが、それでも利他行為に出たのだ。もっとも、獲得した食べ物の幾分かを、分け前として、隣りの檻にいるチンパンジーに与えたとしたら、それはそれで、大変な発見になるだろう。映像ではそこまではなかった。京都大学霊長類研究所での実験映像である。実験者は、京都大野生動物研究センターの田中正之准教授(比較認知科学)ら。

 面白かったのは、赤の他人のチンパンジー同士よりも、親子(母子)である場合には、この協力関係が頻繁になるというデータだった。赤の他人では、半々だが、親子だと、7、8割方、協力するとのことだ。ただ、協力の仕方を詳細に観察すると、ステッキを要求しなくても自発的にステッキを相手に渡すというケースは、要求があってそれに応える形でステッキを渡す場合に比べて、少ない、というか大変にまれだそうだ。困っている相手の気持ちを忖度して、

 このステッキを使ったらどうか

と気を回して助っ人するまでにはなかなかいかないようだ。それはそうだろう。そんなこと、人間だってなかなかできない。しかし、いずれにしても、こうなると、精神面でも人間とチンパンジーは極めて近いと考えたくなる。

  かつて(1996年10月)、ローマ法王ヨハネ・パウロⅡ世は法王庁科学アカデミーに送った書簡で「進化論はもはや単なる仮説以上のものであり、科学的な根拠を持つ」との趣旨を述べて、140年ぶりに進化論を認めた。ただし、「人間の精神(あるいは魂)は神から与えられたものである」とも述べている(原文はフランス語)。いまやこのただし書きも怪しくなっている。2009.10.15

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