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日本はノーベル賞の小国か 自然科学系3賞を考える

 臨時ニュースで、あるいは号外で

 オバマ米大統領がノーベル平和賞

というニュースが流れている。オバマ氏の核廃絶を訴えた「プラハ演説」を、口先だけに終わらせないよう、有言実行せよ、とクギを刺した授賞だろう。後退は許さない、という選考に当たったノルウェー国会(ノーベル賞委員会)の政治的な強い意志を感じる。こうなると、オバマ氏にとっては、喜ぶというよりも、むしろ、辛い受賞だろう。

 ノーベル賞も、平和賞ともなると、国際政治が強く働いた選考となりがちであると感じざるを得ないが、いわゆる自然科学系3賞、物理学賞、化学賞、医学・生理学賞ともなると、そうとばかりはいかない。運もあるが、誰でもが認める実力と業績が肝心だ。

 この3賞については、アメリカが圧倒的に強く、日本はノーベル賞の小国と考えがちだ。だが、よくよく、これまでの受賞を調べてみると、21世紀に入ってからの最近の日本は、アメリカ、イギリスに次いで、受賞者が多い。中国国籍、あるいは韓国国籍の受賞者は、ノーベル賞100年余の歴史において、これまで一人もいないことを考えれば、大いに誇っていい。2009年の受賞者を含めた国籍別の数字を少し示す。

 日本  物理学 6人 (世界=187人)   

             化学   5人 (世界=157人)

             医学   1人 (世界=195人)

             合計  12人   (世界=539人)

 日本国籍では、第9位である。物理学では、2008年に物理学賞を受賞した日本人、南部陽一郎氏は、受賞時は米国籍。これを入れれば、日本人の物理学賞受賞者は、1人増えて7人。米国籍の受賞者は、539人のうちの44%、235人と圧倒的である。これは、日本人受賞者の約20倍という驚異的な数字。戦前にはそれほど受賞者がいなかったアメリカが、戦後、これほど多くの受賞者を輩出するようになったか、考察すると、日本にも参考になり、面白いだろう。

 ただ、21世紀に限って、統計を調べてみると

 日本 2000年までで 6人

     2001-2009年 6人

と半々で、最近はがんばっていて、好成績である。今世紀に入って6人というのは、アメリカ、イギリスに次いで第3位。ドイツ、フランス、ロシアを抜いている。お隣の中国、韓国には過去100余年の歴史において一人の受賞者もいない(中国人だが、受賞時は米国籍という受賞者は何人かいる)。このことが両国ともに、国内で何故なのだ、とマスコミの新聞などで愛国心と結びついて問題になっている。こうしたことを背景に、韓国では2005年に、

 国家を騙した科学者、ソウル大学元教授の「ES細胞」論文捏造事件

というおぞましい科学スキャンダルが発覚したといえよう。

 世界的なノーベル賞研究には、科学者の社会学とも言うべき

 H.ズッカーマン 『科学エリート』(1977年、玉川大学出版会)

があり、一読を進めたい。ノーベル賞の歴史は、3賞受賞者と言えども科学的な業績だけで選ばれたわけではないことを、具体的にわれわれに教えてくれる。2009.10.10

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