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It's all too much (あまりに多すぎる) 人生逆転ゲーム「カイジ」

主題歌のタイトルが

It's all too much (あまりに多すぎる)

というので、何がかなあ、と思いながら、封切られた佐藤東弥監督の

 (負け犬の)人生逆転ゲーム「カイジ」

を観た。原作があるらしいが、破天荒でおもしろい。たまにはこういう映画があってもいい。主演の「伊藤開司」役には藤原竜也、そして天海祐子、香川照之が好演していた。このことが見終ったときに、観る者に嫌な印象を残さなかったのだと思う。また、変な説教調にもならなかったのも、彼ら、彼女らの熱演のお陰であろう。天海さんも、この映画で、「女王の教室」に続いて、また一つ女優開眼したのではないか。持ち味と役柄がよくマッチしていた。香川さんも、最近の映画「点の記」の剣岳地元案内人役とは対照的な役柄をうまくこなしていた。憎まれ役も、生真面目な善人役もできる役者である。

 ところで、先ほどの疑問だが、どうやら、金利があまりに高すぎる、あるいは借金があまりに多いということらしい。

 1分あたり、1%

というのもあったから、これはもう、笑ってしまうほどに、あまりに高すぎる。来年6月に完全施行となる

 改正貸金業法

とからめたテーマ設定の映画であろう。3年前の最高裁の判決以来、社会問題化していた。

 この映画で監督が訴えかけたのは、

 若者よ、将来を考えずに、安易に借金しすぎると、人生を狂わすよ

ということのようだが、わかりやすく言うと「借りすぎに注意しましょう」ということらしいが、あからさまに説教調にならないところが、いい。辛うじて、作品を成功させている。主題歌には、その分、なぜこの映画をつくったかという警鐘意図が明確に表現されている。

 ただ、一言注文するとすれば、博打を奨励するなど反社会的な映画にならないようにとの心配からか、ラストシーンは少し甘いことだ。博打は、所詮、ダメということを伝えるにしても、もう少し、わさびの利いた結末にすべきであったと思う。そうすれば、記憶に残る映画に仕上がっただろう。抑制の効きすぎが惜しまれる。

 そんな思いで、深夜自宅にもどって、映画の内容を反芻しながら、ちびちび日本酒を飲んでいたら、日本テレビ(浜松市では、「だいいちテレビ」)の

 恋のから騒ぎ

に、なんと主演の藤原竜也が、封切り日ということもあって、ゲスト出演していた。案の定、「カイジ」の案内をしていた。

 そこでの発言が面白い。藤原は、こう言っていた。

 「(出演した)天海さんは、この映画を観れば、男がわかる、と言っていた」

若い女性が多く登場していた番組のタイトルを意識した発言だが、うまい宣伝文句である。確かに、この映画、ほとんど女性は出てこないが、男がわかるかもしれない。

 負け犬になりたくないという意識、でも約束は守ること、社会的な信義は大事にすること

そういうことがわかるかもしれない。ただ、天海さんのような女の心は、この映画をみただけでは、残念ながらわからなかった。それにしても、「浪速金融道」など、漫画には多いようだが、

 金利をテーマにした映画は珍しい

 やたら数字が出てきて、映画やテレビといった映像向きではないからだろう。そこに挑戦した佐藤監督にもエールを贈りたい。2009.10.11

追記

 「サンデー毎日」10月25日号の表紙は、藤原竜也だ。中のカラー紹介グラフ

 「SUNDAY CAFE」によると、やはり「カイジ」の撮影について、藤原がインタビューで語っている。個性的な役者、香川照之、天海祐希などと一緒に仕事ができたことを喜んでいた。次の仕事のために、この夏、イギリスに語学留学したという。若いということは、やはりすごいことだ。本人が気づいているかどうかは知らないが。

 映画では、台詞で「お金なんていらない」と叫んだ藤原。実際は

「命も金も両方とも大切だ !」

とか。そりぁ、そうだろう。

 金も、命も、ご利用は計画的に、と言ったら、世間から叱られるだろうか。2009.10.17

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