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鳩山論文、結局、教訓は何か 発信する要約は英語の論理構成で

 きのう、鳩山新政権が発足した。

 そこで、いろいろ新聞を読んでみた。9月17日付朝日新聞が面白い記事を載せている。英語コミュニケーション論が専門の鳥飼玖美子(とりがい くみこ)立教大教授の論考だ。

 鳩山論文の教訓 / 発信は英語の論理構成で

である。要するに、誤解が生じたのは

「英語の論理構成では最初に最も重要な主張を提示し、次にそれを検証したり補強したりして論を展開していくのが定石である」

のに、掲載された英文要約は、日本語全文そのままの論理構成で翻訳した英文全文をそのまま要約しており、この定石に則っていないからだとしている。だから、アメリカ人に誤解を与えた。いきなり結論が出てきて、前段の前提が抜きであったからだというのだ。だから、

「世界に語りかける時は、英語的な構成の方が(誤解を招かないという点で)得策だ」

と指摘している。なるほどと感心した。しかし、そうした論理構成に組み直して要約英文として掲載するにあたっては、要約したものを一度、著者(この場合、鳩山氏)に了解を取るべきだったろう。今回、要約英文づくりにあたっては、そうした組み替えはしていない。このことが、誤解の基であった。

 世界に向かって発信する重要論文であるにもかかわらず、いくら英訳そのままの要約であるからと言って、無条件に「OK」してしまった鳩山由紀夫事務所も、今から考えると、うかつであったと言えよう。

 ところで、鳥飼教授が指摘した英語の論理構成については、

 社説についても言えることだと自戒した。重要な結論は真っ先に書け。そしてまた、これは研究論文の要約(サマリー)についても言える。ニューヨークタイムズ紙の寄稿要約は、この研究論文方式だったのだろう。鳩山事務所を笑うことは私にはできない。

 今回の教訓は、国を超えて、誤解のない意思疎通を図るには、文化の違いにも気を配れということだった。2009.09.17

追記

鳩山政権の首相や閣僚の経歴をみると、理工系出身者が3人もいる、少しオーバーに言えば、いわば

 理工系内閣

である。このことが、戦略的な政策を打ち出すとしているが、専門分野にこだわり、逆に近視眼的な判断が頻発するという災いとならないか、私は懸念している。この点をわきまえて、謙虚にほかの人の意見をよく聞く姿勢が理工系大臣には求められるのではないか。とりわけ、菅国家戦略担当相は、一番、このことを肝に銘ずる必要があるように思う。専門性があるだけに、理工系の、それも団塊世代の自信過剰が一番怖い。かつて橋本内閣で厚生大臣を務めて、エイズ問題などで患者救済に道を開くなど実績を残したという自負もあり、ますます自信過剰になりがちだ。その意味で鳩山政権のアキレス腱は菅直人氏ではないか。私自身が理工系出身で団塊世代であるだけに、この予想を1年後に検証してみたい。

 鳩山由紀夫 総理大臣     東大工学部 スタンフォード大大学院博士課程

 菅直人 国家戦略担当大臣  東工大工学部 弁理士

 川畑達夫 文部科学大臣    京大工学部大学院 化学工学

  平野博文 官房長官       中央大学理工学部 松下電器

 で、平野氏は団塊世代のど真ん中。鳩山、菅氏はぎりぎり団塊世代。2009.09.17 

 菅氏が、国民を塗炭の苦しみに突き落とした「下手人」として、その名を歴史にとどめないよう祈るばかりである。弁理士は弁理士に徹するべし、というのは言い過ぎであろうか。

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