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誰が最初に上げたか ? 打ち上げ花火 砲術家の武士である

 行きつけの「赤ちょうちん」の入り口に、荒縄でぐるぐる巻きにした円筒形の筒が置いてある。直径が15センチぐらいのものもあるが、もう少し太めのものもある。高さは5、60センチくらいだろうか。金沢から浜松に転居して、まもなく10カ月になる。あまり気にしていなかったが、思い切ってママさんに聞いてみた。それがなんと、

 遠州・新居の手筒花火

の使用後の手筒であった。徳川家康の江戸時代、火薬は軍事機密であり、そうそう誰でも入手はできない。しかし、花火見物を楽しんだ家康がその美しさに痛く感心し、出身地の三河にだけには火薬を使った花火づくりを許可したという。三河花火の始まりらしい。そこからいろいろな花火が創案されて、江戸時代を通じて発展してきた。そのひとつが、荒井(現在の新居)の手筒花火というわけだ。

 現在では、縁起がいいというので、店の玄関口にいくつか置いてあるらしい。ママさんは秋田県出身の美人。それが、結婚して静岡県新居町に住まいがある。だから、地元の手筒花火の筒を縁起物にしている。商売繁盛を願ってのものだろう。こうした三河花火の源流は、三河の安城市桜井出身の「仰空信道和尚」なのかもしれない。和尚は如意寺の住職であったらしい。

 新居の手筒花火は、花火の源流の一つではあろうが、打ち上げ花火とは違う。砲弾に当たる尺玉はない。むしろ、家康が楽しんだという花火に近いような気がする。これとは異なり、打ち上げ花火は、大砲型ともいうべきものであり、砲弾に当たる尺玉には、推進力となる筒は付いていない。これに対し、ロケット型とも言うべき花火は、尺玉に火薬を詰めた竹筒がついているのが、特徴である。このロケット型の花火は、なんと、私の通う静岡市の草薙神社(清水区草薙)でおまつりに打ち上げられている。無形民俗文化財らしい。

 その様子が、8月2日、日曜日のNHKの新中部ローカル番組「金とく」(再放送)で紹介されていた。番組のタイトルは

 誰が最初に上げたか? 打ち上げ花火

である。その中で、この神社の、昼ののろし「龍勢」、夜ののろし「流星」が映し出されていた。これでもわかるが、打ち上げ花火は、火薬の爆発が上に向っていて、それに押し出される形で、火縄の付いた尺玉が飛んでいき、爆発して花火になる。これに対し、龍勢は、尺玉の推進力をつける竹筒が付いていて、下向きに火薬の燃焼が行われて、その反作用で尺玉が上昇する。まったく火の吐き出し方が逆である。したがって、今日の打ち上げ花火の源流とは考えにくい。忍者の使う狼煙(のろし、烽火)の発達したものであろう。現在のロケット式花火の源流は、忍者ののろしかもしれない。関ヶ原の合戦でも使われたらしいことが、合戦屏風図に描かれている。

 それでは、現在の打ち上げ花火の源流はというと、番組では、

 砲術家の武士が、江戸にて、空に向って打ち上げた大砲花火

ではないか、と解説していた。つまり、江戸時代に入ると、砲術家は、その働きを発揮する場がなくなり、就職活動の一環として、もともとは、地面にほぼ平行に打っていた大砲を真上に打ち上げて、仕官のためのデモンストレーションをしていた。当時の大砲は、砲弾ではなく、花火の尺玉(火縄付き)を敵陣に打ち込み、そこで爆発させていた。したがって、大砲を上に向ってぶっ放せばよかったのだ。証拠として、武士が真上に向けて、火縄の付いた尺玉をまさに打ち上げようとしている絵図が関東圏の神社でみつかっているとして、放送ではその絵図まで映し出していた。見た印象でも、確かに、これこそが

 打ち上げ花火の元祖

だった。

 余談だが、こうした大名花火に対して、江戸時代には、大砲式の町人花火も盛んになっていた。それが、今も残る日本最古の花火店宗家「鍵屋」であり、その分家の「玉屋」なのである。

 金沢から転居してきた私が興味を持ったのは、花火に必要な火薬が加賀藩の五箇山・合掌造りの囲炉裏の下で製造されものという事実である。良質の塩硝は、加賀藩から大量に全国に花火の材料として堂々と販売されていたのである。

 塩硝の道は、実は「花火原料の道」でもあった

 この点は、北國総合研究所の提供番組「ふるさと講座」でも気づかなかった点である。2009.08.03

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