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脳神経倫理学 「すばらしき新世界」は来るか

 脳科学について、このごろ辛辣な批判をし、うんざりしていたせいか、脳科学嫌いになりそうになっていた。そんな折り、なかなかどうして、

脳科学は素晴らしい

と思わせてくれる冊子を拝見した。「脳を読み取ることで」という特集を組んでいる「切り抜き速報 科学と環境版」(2009年9月、ニホン・ミック)にうれしくなったのだ。全国紙、地方紙、専門紙の中から選んだ記事が切り抜いて並べられており、最近の話題を一覧できて、大変に役に立つ。さまざまな分野で活躍している脳科学者が堅実な成果をきちんと出している様子がわかる。中でも、

 「注目集める脳神経倫理学/心が読み取られる/脅かされる内心の自由/怖い技術の悪用 新たな倫理が必要に」

は、面白い視点で書かれていて、興味をそそられた。右手を動かす動作を思い浮かべるだけで、離れた場所のロボットが実際に右手を動かす。そんな仕組みをホンダが国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、島津製作所と共同開発したという。記事によると、90%の割合で、想念通りにロボットを動かすことができたという。これが、脳波計と脳血流を計測する近赤外光脳計測装置を併用して解析する世界初の手法で得られたというのだから、驚く。切り抜きの元の記事は、2009年7年7日付中日新聞朝刊。

 考えただけで、その内容がロボットに伝わり、その通りに動く

というのだから、びっくりである。

 こうした技術を高く評価し、その上でこの技術が社会に受け入れられるための脳神経倫理学を研究している石原孝二東大準教授は、

「今は脳科学の知識があまりにも安易に流布されている」

と現状を分析している。その通りであろう。記事によると、同教授のグループは、こうした脳神経倫理学という新分野の特質を明らかにし、脳科学の成果が社会にもたらす影響の制御可能性について検討を進めているという。こうなってくると、確かに

 脳科学の成果は、「内心の自由」というこれまでの人間観を大きく変えるインパクトを持つ可能性がある

と言えるだろう。

 例えば、こうした脳科学の成果を活用することで、刑事事件の被告の責任能力を判定するための精神鑑定も大きく変わるだろう。これまでの医師の判断から、「脳活動を計測し、数値で判定する装置」が判断する。そんな時代がそこまで来ている。

 これを怖いとするか、素晴らしいとするか。脳神経倫理学はどんな答えを出すのだろう。

これは、某有名脳科学者がやっているようなニセ科学ではない。現実に起こりうる「すばらしき新世界」なのである。2009.08.26

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