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ライチョウと富士山と温暖化と ダーウィンが来た !

  冬の鳥と言えば、立山のライチョウである。金沢に20年以上暮らしていたので、立山のライチョウを何度か見たことがある。夏は、立山全体に広がって活動するので、なかなかお目にかかれない。しかし、冬は、というか、まだ雪が20メートルぐらい残ってはいるものの、パスが室堂まで通じるので、大型連休明けには、雪の立山でライチョウがつがいでいるのをよく見かけた。餌場として、ホテルの近くの残飯をあさりに来るので、むしろ冬場がライチョウを見かけるのには都合がいい。

 7月26日のNHK番組「ダーウィンが来た !」でこのライチョウの一年を追いかけて、その生態を紹介していた。この番組で興味を持ったのは、かつて、1960年代に寒いところが好きな雷鳥なら、より高い富士山の山頂付近に連れてくれば、もっと生息環境がよくなって、繁殖が進むのではないかとして、7羽のライチョウが立山からヘリコプターで富士山に移住させられたという話である。特別天然記念物だから、大切に育てようという試みなのだが、結局、失敗に終わったという。

 原因は、冬場の餌場となる、高山植物の実があるハイマツが、地質上の関係で富士山にはないことであり、生息が定着しなかったという。移住から10年でせっかく繁殖したライチョウも含めてすべて死亡したという。

 あらためて思うのは、現在の生物分布は、ライチョウに限らず、生物たるもの環境に適応して生存が可能となっているということだ。人為的に移住させても、繁殖は難しい。単に、寒いところだから、立山より、富士山がよいとは限らない。生き伸びるための環境全体を考えなければならないということだろう。とりわけ、餌場の確保が大事なのである。よく考えなくても、こんなことは当たり前なのだが、人間の傲慢さがこのことを忘れさせるのであろう。人間の都合ばかりを考えていると、こうしたおろかとも言うべきことが、ちょくちょく起こるのである。

 しかし、その努力と失敗を笑うことはできない。なぜか。

 ライチョウは立山だけでなく、ノルウェー、シベリア北部、北米アラスカあたりにも生息しているらしい。ただ、立山のライチョウはそのなかの南限に生息しているのが特徴なのだ。それだけに、世界のどこのライチョウよりも、温暖化の影響をより強く、また、より敏感に受ける。あらためて、現在の日本のライチョウの生息数が千数百羽であり、「絶滅危惧種」であるというだけでなく、立山の、いや日本のライチョウの貴重さを思い知らされた。一般に、鳥の場合、1000羽を切れば、もはや野生のままでは、いずれ絶滅は避けられないと言われており、ライチョウはそのぎりぎりのところに立たされている。

 ライチョウを救うのは、世界のライチョウ国と繁殖を手助けするために、その知恵を借りるなど相互協力する以外に手はないのではないか。今、よみがえろうとしているトキの場合のように。

 そんなことを思い起こさせてくれた番組であった。2009.07.26

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