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Mrs.Brain 脳科学で天才を育てるおばあちゃん、久保田カヨ子

 金曜日とあって、仕事帰りに行きつけの飲み屋でママさんと、滅多に見ないTBS系(SBS)のバラエティ番組、

 中居正広のキンスマ

を見て驚いた(7月3日)。脳科学で天才を育てるおばあちゃんとして一躍有名になった久保田カヨ子氏(くぼたのうけん主宰)が出演していた。いやはや元気で、口達者なおばあちゃん(77歳)だと感心して見ていた。もちろん、最初は、今流行のインチキ脳科学をうたった娯楽番組だと思っていた。そのうち、赤ちゃんが泣いている時間は、赤ちゃんが集中している時間であり、脳の発達を促す天才教育には欠かせない重要な時間であると指摘しているのをみて、これは本物だと気づいて、カウンターにあった紙ティッシュにメモをし始めた。それくらい説得力のある娯楽番組だった。ご丁寧に、わが子(広氏)を、開発した幼児教育法の正しさを証明する実験材料に使い、見事、東大に合格させたというのだから、偶然かもしれないが、まんざらインチキでもない。脳の発達が著しい一歳ぐらいまでが教育の勝負どころと言っていた。ここに目をつければ

 「赤ちゃんはみな天才に育てられる」

というわけだ。そのための、子どもの手と指を刺激する実践トレーニング法が紹介されていた。

 その一つが、

 どっちが好き ? と質問することだという。つまり、決断する、判断するのは、脳の中でも前頭連合野の最も重要な働きであり、この質問でこの部分を鍛えることは頭をよくする基本だというのだ。これは脳科学的には正解だ。赤ちゃんに限らず、大人の世界でも、正解のない質問に答えさせることは、いろいろ考える必要があり、脳を鍛える合理的な方法だ。脳に可塑性がある赤ちゃんの場合、大人より、効果的な成果が得られるだろう。

 疑問に思ったのは、どうしてカヨ子氏がこんなことを学んだのか、ということだった。番組で、アッと驚いたのは、このカヨ子氏の夫が、なんと、久保田競氏なのだ。大脳生理学や認知神経科学で世界的に知られる京都大名誉教授、医学博士。東大医学部卒で、京都大学霊長類研究所でサル(チンパンジー)の前頭葉の構造と機能を研究、京大教授、同研究所所長を歴任している。

 彼女がえらいのは、夫の学問に興味を持ち、たくみに自分のものにし、幼児教育に応用しようとしたことである。普通は、夫の仕事に興味を持つ妻はいない。内助の功というのはあっても、自ら、夫の学位論文作成の手伝いまですることはない。カヨ子氏はこれを手伝い、脳科学の重要な成果を教育に生かそうとしたのである。わが息子で実験して開発した教育法の正しさをまがりなりにも実証しようとしたのである。その上で、広く、社会に脳科学の成果を還元しようとした。夫のように、研究だけに成果をとどまらせておかなかったところが、えらい。

 ところで、この番組を見た次の日、土曜日(7月4日)の午前、毎週見ている「NHKアーカイブス」で、なんと、京都大学霊長類研究所の松沢哲郎教授が出演していた。研究所で、1978年から始まった「チンパンジー・アイ・プロジェクト」をすすめているサル学者である。番組としては

 チンパンジー、アイの子育て日記/9年間の記録

である。ここでも、生まれてから1年ぐらいは、母親アイのしぐさをじっと見て、マネをすることから子育てが始まっている。決して、母親アイは、教えない。ただ、アユムの前で、ひたすら繰り返し、繰り返し、やってみせる。つまり、

 教えない教育

をしている。これは、子どものアユムが自主性を発揮して、自分でもやってみようという気にさせるまで、ただ、ただ、親が目の前で、やり方をみせる。実験室でもそうだが、野生のチンパンジーでも、石で硬い殻に入った実を取り出す方法として、石の上に殻ごと乗せて、別の石で上から叩き割る。そして、中身を取り出す。こどもは、それを何回も見ていて、ついに、誰に言われるでもなく、自ら、やってみる。最初はうまくいかないが、いつかは親同様、中身を取り出せるようになる。サルの社会にも、こうして道具を使うという文化が親から子へ伝わっていくことが実証されたことを番組は視聴者に紹介していた。

 ただ、真似るから、自分ひとりで学ぶようになるのは、サルでは4-5歳(人間で言えば小学1年生くらい)。1から5までの数字を順番に示すことができるようになるのは、半年。1から9まででは、5歳半ぐらいでてきるようになる。

 ただ、驚くのは、コンピューター画面に、1から9までの数字をランダムに1秒程度一度に表示し、その後、消去。チンパンジー、アユム(5歳)に小さい方から順番にその数字のあった場所を指でタッチさせる学習をさせていた場面である。大人では完全な正解はほとんどできないが、5歳のアユムは、

 瞬間記憶

では大人の人間より優れており、少しの訓練で、かなりの確率で、1から9までの数字のあった場所を小さいものから順にすべてタッチできた。実に驚くべき能力だ。人間でも、小中学生のほうが、携帯電話の文字・数字タッチが、ほとんどブラインドタッチで早く正確なのは、このせいだろう。サルでも、人間でも、若いほど、瞬間記憶能力が高いのだ。

 番組では、アユムが8歳になった最近の様子も紹介されていた(母親アイ32歳=人間では48歳に相当)は。30年近い研究から松沢教授によると、サルには

 ねたんだり、そしったりすることはない。コンプレックスもない。絶望することもない。

ということらしい。最後に、チンパンジーから学んだ「人間の心」について、松沢教授が語っている。人間には、ねたんだり、そしったりする心がある。絶望したりもする。コンプレックスもある。しかし、チンパンジーにはどうやらそういうものはない。チンパンジーには、目の前にあるものについては、すごい記憶力を持っている。しかし、過去や未来について想像することはできないようだ。人間には、チンパンジーにはない絶望や希望という感情があるのは、過去や未来について想像する能力が人間にはあるからなのだろう。

 絶望したり、希望を抱いたり、コンプレックスを持ったりするサル。それが人間なのだ。それは、目の前のことだけではなく、想像する能力があるからこそできる。人間の特徴とは、想像することのできる能力を持っていることだと言えるだろう。2009.07.04 

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