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Knowing 知らないでいることの幸せ

 誰でも一度は透明人間になりたい、未来について予知能力があれば大もうけができるのにと思ったことがあるだろう。しかし、ニコラス・ケイジ主演のこの最新映画、

 「ノウイング(予知能力)」

を見て、つくづく、未来を知ることができない、その幸せを強く感じた。人間は未来なんてものがどうなるか、知らない。そのことがいかに幸せか、この映画は語りかけてきたように見終わって感じた。地球消滅を知って、いまさら人間はどうする。逃げ場なんてない。ならば、死の瞬間まで知らないほうがいい。

 人間、明日がどうなるか、知らないから生きていける。楽しみもある。希望も出てくる。知れば、絶望だけが残るだろう。人間は、未来を予知することはできない。しかし、過去に対しても、未来に対しても思いを馳せることはできる。それは一つの可能性としてであり、確実な予知ではない。未来は決まっていない。決めるのは現在の自分だという信念こそ、人間に希望を与える。神というものがいるとしたなら、神はなんと絶妙な配慮を人間に対して行ったのだろうと感謝したい気持ちだ。

 映画の最後では、宇宙船が下りてきて、選ばれた男女二人と、つがいのウサギ2匹が地球消滅に先立って助けられる。そして、別の星で、復活する。つまり、アダムとイブである。そう考えると、宇宙船とは

 現代の箱舟

ということになる。

 それはともかく、主演のニコラス・ケイジの演技をしばらくぶりで見た。見たが、やや失望した。かつての映画、

 「月の輝く夜に」

のときのような初々しさがすっかり消えていた。あのときのパン職人、ロニー役を見事に演じていた。満月は人を狂わせる。月の魔力を背景に、再婚を決意した女性が婚約者の弟(ケイジ)と恋に落ちるという役をユーモラスに、そしてみごとに演じていた。

 こんなことを、見終わった映画館の近くの洒落た小さなスタンドバー「ASK」のカウンターでマンハッタンのカクテルを飲みながら思いをめぐらせた。

 繰り返すが、予知能力は不幸である。

そんなことを知っただけでも幸せな、そしてすばらしき土曜日であった。2009.07.11

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