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福井県立恐竜博物館の意地 2億8000万円で全身化石購入

 今や、大不況で、博物館などの運営が青息吐息だ。職員が減らされる。経費削減で、まずは人件費を削り、パートと非常勤に切り替える。そんな博物館が多い中で、決して豊かな財政事情でもない福井県が、恐竜博物館(勝山市)開館10年を記念して、

 米ワイオミング州で発掘された草食恐竜「カマラサウルス」の全身化石

をなんと、2億8000万円で購入すると発表した。6月16日付毎日新聞夕刊に出ている。だから、夕刊はやめられない。この不景気に、なんと太っ腹な出来事だと、福井県福井市出身の私としては、ふるさと自慢も手伝って、感心した。県の担当者はさぞや購入にあたっては、悩んだであろうと思ったが、なんと

 「たいして骨を折らなくても、元はとれる」

と平気。5年以内に購入費は入場料でまかなえるとそろばんを弾いたそうだ。えらい。いくら開館10年の記念購入とはいえ、今時、3億円近い公金を支出するのは大変なことだ。福井県立恐竜博物館は、恐竜骨骼30体以上を展示する日本で唯一の専門博物館。その意地でもあろう。国立科学博物館(東京・上野)は、日本で初めて恐竜の全身骨骼を常設展示している。しかし、専門博物館ではない。最近、新館がオープンし、恐竜展示ホールがある。そのほかの恐竜博物館としては、東海大学付属自然史博物館(静岡市清水区三保、付属社会教育センター)、豊橋自然史博物館(豊橋市)があるが、いずれも、レプリカ展示であったり、貧弱すぎたりで、学校教育用の域を出ない。

 専門博物館に全身15メートルにもなる全身化石であれば、専門博物館としては一人前と言えるだろう。箔が付く。全身骨骼のない専門博物館では、迫力を欠く。そんな思いが、失礼だが、ここは勝負とばかり、貧乏県、福井県を思い切った購入に踏み切らせたのであろう。これなら、宣伝しなくても、入場者は続々だろう。

 文化政策はどうあるべきか。どの自治体も、どの県も、そして国もそこにどう独自性を出すか、悩みの種となっている。今回の福井県の英断はそのヒントになるだろう。ちまちまとしたものを、ちびちびやるよりも、こどもを取り込んで、本物に思い切りよく資金を投入する。これが成功の秘訣だ。金沢市の現代美術館「金沢21世紀美術館」もこれで成功した。赤字覚悟の開館であったが、初年度から全国から観賞者が訪れた。年間200万人が入場し、黒字の経営だった。こどもをターゲットにした戦略と奇抜なアイデアで勝負に出た。伝統の城下町らしくない大胆さがあった。

 忘れてならないのは、大胆さをもって英断するには、やはり人物を得ることが大事である。これなくして、思い切った仕事はできない。 

 文化政策は、戦争戦略と同じで、戦力の小出し投入は愚の骨頂だ。小出しは効果がないばかりか、全滅する。2009.06.20

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