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青年よ、深き志をいだけ 伊藤和也が渇いた大地にまいた種

 昨年8月、アフガニスタンで武装グループに拉致、殺害された元NGOペシャワール会会員、伊藤和也さん(静岡県掛川市出身、農業担当)をしのぶ番組「渇いた大地にまいた種-アフガニスタンから届いた命の写真」(SBS(静岡放送)制作)を見た。

  番組で一番印象に残ったのは、指導してやるという考え方から、現地に学ぶ姿勢に和也さんの姿勢が変わったことだ。サツマイモづくりの失敗から思い知らされたからだろう。それには、現地の人々、国の将来を担うこどもたちとの交流が大事であることに気づき、積極的に現地語も学び、交流を始めていったそうだ(京都市在住のペシャワール会農業担当ベテラン会員、高橋修さんの証言。伊藤さんの現地上司)。

 磐田農高から農業短大、そして、米国でホームステイしながらの農業体験のある伊藤さんが私たちに残した遺言とは、結論を先に言ってしまえば

 「日本の青年よ、深い志をいだこう。自分のことだけでなく、世界のことも少しは考えよう。そして、行動しよう」

 ということだと思う。「少年よ、大志をいだけ」という言い方があるが、大志でなくてもよい。行き先だって何もアフガニスタンに限る必要はない。よく考え抜いて自分にできる深い志を持とうということである。たとえ、志が悲劇的な結末に終わったとしても。というところが、少し番組を見ていて、つらいところだった。深い志と行動力をもっていても、それがすぐに花開くとは限らない。それを引き継ぐ志ある「次の人」がいなければ、深い志も道半ばで終わってしまう。番組は、掛川市役所や浜松市西区のイオンモール浜松志都呂店での「しのぶ写真展」(2008年12月)を紹介していた。しのぶだけでなく、和也さんの後を受け継ぐ若い「次の人」がこの「しのぶ写真展」を継続することで、出てきてほしいと感じた。現在、アフガニスタンは、和也さんが活躍していたときよりも治安が悪くなっているけれども、いつの日にか、アフガニスタンの復興支援に立ち向かう「次の人」が出てきてほしいというのが、父、伊藤正之(まさゆき)さんの願いでもあろう。

 アフガニスタン滞在、わずか五年足らずのうちに、大地を緑にする活動を現地の人や仲間と共に成功させつつあった伊藤和也さんの死は、残された約2000枚の写真とともに、永く記憶されるであろうし、記憶しなければならない。

 以上が番組を見た直後の感想だが、伊藤和也さんが、なぜアフガニスタンに行こうとしたのか、ということから、思いめぐらすと、論説委員としての意見は次の通り。

 きっかけは、米国でのあの9.11事件であろう。あの荒れ果てた大地を力で立て直すのではなく、もっと平和的な手段で立て直したい、何とかしたいという思いからアフガニスタンを目指したという想像は容易にできる。つまり、

 自分の身につけた農業技術を本当に必要としている国、それがアフガニスタンであったのだ。そこで自分の農業技術を試してみたい、そして、そこで一生を終えたいと強く思ったのかも知れない。和也さんは「アフガニスタンに行ってくる」ではなく、「アフガニスタンに帰る」と言って日本を離れているのだ。このことは、裏を返せば、急速に増えつつある放棄農地問題など日本は本当に農業を必要としているのか、もはや必要としていないのではないかという基本的な疑問が伊藤さんにはあったに違いない。和也さんの行動と悲劇的な死は、日本の農業の現状や将来に対して痛烈に批判しているととらえたい。2009.05.05

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