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厳冬富士山には殺意がある 「風の山」に登る

  土曜日の夜、ゆったりと一人でマンションでワインを飲んでいたら、NHK「ワンダー×ワンダー」という番組をやっていた。

「白い魔境 冬富士」

というタイトルであった。浜松から平日は静岡市内のマスコミ会社に通勤している。五階の職場の窓から、この冬、毎日のようにまじかに頂に雪をかぶった美しい富士山を見ながら仕事をしていたせいか、興味を持って拝見した。ところが、富士山は独立峰なので、冬の富士山は

「風の山」

で、ベテラン登山家でも登頂は大変に難しいらしい。ひょっとするとエベレスト登頂より大変かもしれないと聞いて、びっくりした。氷点下20度、30度にはなり、風が強い。靴のアイゼンが効かない。しかも、さえぎるもののない急な上り坂。風の向きも、地肌にそって一様に吹くのではなく、下から吹き上げる風、下にたたきつけるような風、巻き上げるような風、それらが入り交じり合った風。とてもじゃないが、ベテランでもこうなると下山するしかないという。それでも、富士山が高気圧にすっぽり覆われるような日には、実にウソのような穏やかな表情を見せてくれる。そんな冬の富士山について、ベテラン登山家は

「冬の富士山の風には殺意がある」

と表現していた。その恐怖を味わわされた体験者ならではの実感のこもった表現に感心した。

 金沢で20年暮らして、浜松に移り住んで半年。富士山を見ながら毎日仕事ができる幸せをかみ締めている。そんな気分を吹き飛ばしたワンダーな(驚きの)番組だった。

 美しいものには、ときとして殺意がある。作家の松本清張ではないが、これは人生の箴言にも通じる。2009.05.10

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