『死因不明社会』のその後 動き出した死因究明基本法案
ベタ記事がかならずしも重要ではないということにはならない。今は、新型インフルエンザ騒ぎ、渡航歴のない神戸市の高校生に感染者が出たというので、マスコミ界は大騒ぎしている。それはそれで報道することは大事なことであろう。
同時に、たとえベタ記事でも、長い目で見て、科学ジャーナリスとして、これは重要な報道だな、と感じる記事が出ることがある。
死因究明基本法制定を提言へ 与党議連(5月15日付経済新聞朝刊)
である。同じ日付の毎日新聞朝刊にも、これまた第二社会面下欄にさらに小さいベタ記事で「異常死死因究明で提言」と出ている。与党の有志国会議員による「異常死死因究明制度の確立を目指す議員連盟}(会長・保岡興治元法相)が、死体の目視だけではすぐには死因が分からない「異常死」の死亡原因を究明するための制度の充実を図るため提言をまとめたというものである。毎日新聞によると、提言では
「警察の検視官の増員や医師との協力体制を強化するなど検視体制の強化▽法医学の後継者不足を解消するための人材育成拠点「法医育成センター(仮称)」設置など教育研究拠点整備-など6点を求めている。「日経」もほぼ内容は同じだが、基本法で死因究明制度の必要性や理念をまず定め、その上で推進すべき施策や実施時期、責任を担う省庁などを明記するとしている点が目を引く。与党だけでなく、死因究明改善に向けて法案を提出している民主党とも協議するとしている。
近著、『死因不明社会』の著者、海堂尊氏の基本的な主張に沿った動きであり、以前にも述べたような理由により、科学ジャーナリストとして、今後注目したい。2009.05.17
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