« 緑茶でうがい 新茶の季節、飲んでよし、はき出してよし | トップページ | 驚異のひよこ ふ化後3、4日で足し算、引き算ができる »

進化のメカニズム解明? なぜ「17年素数ゼミ」は生き残ったか

 全国紙の夕刊が面白い、ということは、このブログでも何回か、その実例を紹介したが、最近、5月25日付日経新聞夕刊にも、

 「素数ゼミ」の謎解明/静岡大理学部チーム、生存の過程再現

という静岡大理学部吉村仁教授(進化生物学)+兵庫県立大チームの研究成果が紹介されている。コンピューター・シュミレーションによる再現実験であるが、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された論文になっているものである。素数ゼミというのは、素数の13年、あるいは17年周期で大量発生する蝉のことであり、最近では、2004年に米東部に17年ゼミが大量に発生した。

 問題は、なぜ、素数の繁殖周期を持つセミだけが生き残ってきたのかということだが、素数だと、たとえば、ほかの12年周期や14年周期のセミとちがって、繁殖期がほかの周期のセミと比較的に重なりにくいからだとは、すぐに思いつく理由だ。しかし、それだけでは、素数ではない周期を持つセミがまったく生き残らないのはなぜかという理由は説明しにくい。頻繁なほかの周期ゼミとの交雑で、同周期のセミとの出合いの機会が少なくなり、結果として繁殖力が低下するものの、ぜんぜん生き残れないというほどのものではないはずだ。確かに、素数ゼミであろうと、なかろうと、周期が重なると、ほかの周期のセミと交雑し、子孫を残しにくくなる。しかし、繰り返すようだが、同周期のセミともある程度交尾はするわけで、生き残れない、全滅するというのは合点がいかない。多少は生き残るはずだ。

 そこで、静岡大チームは、自然界にみられる「種の個体数が一定の数を割り込むと、つまり、一定数以下になると、それはもう絶滅に向かう」という「アリー効果」を人為的にシュミレーションに加えた。一種の「足切り」効果である。そうすると、予想通り、周期がなかなかほかのものと重なりにくい素数ゼミだけが生き残るというわけだ。この結果はある意味で、当たり前のように考えられる。当然考えられるのは、大きな素数ゼミほど、ほかのセミと繁殖期が重なりにくいので、繁栄するということになりそうだが、あまり次の繁殖期までの期間が長いと、その間にその素数ゼミの数が減ってしまい、次の繁殖期までに死に絶えてしまう。そのへんの兼ね合いで、13、17、19年素数ゼミが繁栄してきたのであろう。はたまた、あまりに小さい素数、2、3、5、7、11年ゼミではほかの素数ではない周期ゼミとそれほど違わない頻度で交雑して、これまた、アリー効果で絶滅する可能性が高くなる。素数ゼミとしては、23、29、31、37年素数ゼミが繁栄していてもおかしくないが、これだと、繁殖期が重なるのは、最低でもそれぞれ46年ゼミ、58年ゼミ、62年、74年ゼミであり、人生100年程度の人間には、なかなか23、29、31、37年ゼミが繁栄しているのか、それとも交雑により絶滅に向かっているのか観察して実際に確かめるには、観察期間が数百年以上かかるだろうし、実際繁栄していても気づかないのかもしれない。

 以上のようなことは、論文に書いてあるのかどうか、知らない。また、アリー効果の足切りをどこでするのかの線引きによらず、13、17、19年素数ゼミの順で生存個体数は増加するだろうと予想される。しかし、シュミレーションの結果は、個体数の多い順は17、13、19年素数ゼミの順だったというのはなぜだろう。この一つの解答は、13素数ゼミは、11素数ゼミと同様、素数としては小さく部類に入り、交雑が激しいから、むしろ絶滅の部類には入らないにしても、繁殖はそれほどでもなかった。繁殖急増は17素数ゼミから始まるというわけであろう。しかし、23素数ゼミでは、上記の理由により、これまた繁殖がそれほど急激にならないというわけで、結局、13、17、19素数ゼミが生き残った。

 ただ、問題は、このパラメーターの設定次第で結果がいかようにもなるということのないよう、パラメーター設定値が自然界での実際に近いものでシュミレートすることが大事である。この設定値を小さくすれば、素数ゼミの生き残り優位性はなくなるだろうし、大きく設定すれば、その優位性は顕著になることが予想される。コンピューターでやれば、何らかの結果は出るのであり、これをもって、進化のメカニズムが解明できたとするのは早計な気がする。

 こうしたことを考えると、もう一分張り、なぜ素数ゼミの中でも、13、17、19年素数ゼミだけが繁栄しているのだろうかという謎解きも要るように思う。

原著論文を読んでみたい。2009.05.30

|

« 緑茶でうがい 新茶の季節、飲んでよし、はき出してよし | トップページ | 驚異のひよこ ふ化後3、4日で足し算、引き算ができる »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/45176942

この記事へのトラックバック一覧です: 進化のメカニズム解明? なぜ「17年素数ゼミ」は生き残ったか:

« 緑茶でうがい 新茶の季節、飲んでよし、はき出してよし | トップページ | 驚異のひよこ ふ化後3、4日で足し算、引き算ができる »