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米国の真骨頂  宇宙望遠鏡の20年 

  アメリカという国は、すごいなあ、とあらためて、驚くやら、感心するやらした記事が、5月12日付静岡新聞夕刊に出ている。

 米財政赤字179兆円/予算教書改定 08年度の4倍

 09年度の財政赤字が、これまで最大だった08年度の4倍に膨らむという記事である。それだけなら、オバマ大統領も大変だなあ、というだけの話。その横に、

 米政府、医療費196兆円節減/「国民皆保険」財源に

という記事にも驚いた。というのは、同大統領が、政権の主要課題の一つにしている国民皆保険導入に向けた医療保険改革の一環として、現行保険制度を見直し、今後十年間で支出を抑え、二兆ドル=約196兆円以上の節減につなげて、改革の財源に充てる計画を発表というのだ。いかにもオバマ氏らしい大胆な改革だ。しかし、これも、それたけなら、アメリカも大変だなあ、ということで感心するだけだ。頑張って欲しい、と声援するだけかも知れない。

 すごいのは、それだけの財政赤字をかかえていても、そして、それだけの医療費節減を覚悟しても、なお、同じ夕刊には、この20年間運用してきた

 ハッブル宇宙望遠鏡、再生へ/NASAシャトル打ち上げ

という記事が載っていることだ。これには莫大な費用がかかるのだ。こまかい修理作業では、宇宙飛行士たちが、百個所以上のねじを取り替えて作業するというから、これも将来の宇宙開拓をにらんだ挑戦ではあろう。しかし、緊急時の退避場所がないため、なんと、NASAは救助用のシャトル「エンデバー」を隣の発射台に据え付け、飛行士四人を待機させる異例の措置を取ったというのだ。修理で再生すれば、あと5年間は最先端の技術で宇宙の謎に挑戦できるという。それにしても、細心の準備と、慎重な運用、そして、遠大な将来計画をこの大不況の中にあっても、敢行するアメリカという国の懐の深さには驚くばかりだ。

 しかも、宇宙望遠鏡がこれまでに上げた成果は、私たちの日常生活とはまったく関係のない、言ってみれば「どうでもいい」ことばかりなのだ。一例を挙げると、太陽系が含まれる銀河系(天の川)の中心には、超巨大なブラックホールが存在すること、宇宙の果ての様子(宇宙誕生直後の様子)の撮影に成功したこと、宇宙の年齢を高い精度で確定したことーぐらいなのだ。こんなことは、日本人の大部分、いや、ほとんどの人は「ごくつまらないこと、どうでもいいこと」と考えるに違いない。そんなものに莫大な金を使うくらいなら、福祉に回せ、派遣村の人々の救済に活用しろと言う人もいるだろう。

 アメリカにもそういうことを言う人はいる。しかし、断固、米政府は宇宙開発への挑戦をやめようとはしない。火星に人類を送り込む計画も一部見直しはあるらしいが、挑戦は続けることになっている。こうした挑戦が、軍事技術のなかでも最先端であり、アメリカのパワーの源泉であるにしても、やはり、アメリカ国民の大部分の支持があってこそできることなのだ。ここに、

 アメリカ人には、20世紀を通じて、宇宙開拓者精神という遺伝子、DNAが脈々と受け継がれている

と思わざるを得ない。宇宙望遠鏡の20年は、米国の真骨頂、本領発揮の20年、いや、100年であったと言えよう。2009.05.13

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