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新聞記事を裏読みする 核兵器廃絶へノーベル平和賞17人宣言 

 新聞を何気なくそのまま読んでいては、真実は分からない。確かに新聞は事実を報道している。間違いではない。しかし、そこには真実は書かれていない。ときおりそんなことが起こる。そんな時は、待てよ、と一呼吸おいて、記事の裏側に思いを巡らすことが大事なのだ。そんな記事として、5月18日付静岡新聞夕刊に載っている。

 核兵器廃絶へ行動を/ノーベル平和賞17人宣言/「差し迫った危険」警告

である。「世界のノーベル平和賞受賞者17人が、核兵器廃絶へ、積極的に取り組むよう各国指導者や市民に呼びかけた「ヒロシマ・ナガサキ宣言」を連名で発表した。被爆地広島に拠点を置く中国新聞の18日付朝刊に掲載された。-オバマ米大統領が先月「核兵器のない世界」を目指すと演説したことを背景に、世界的な核廃絶機運に弾みをつけるのが狙い-」と報道している。「中国新聞が協力し、(宣言の)草案を作成。存命の個人受賞者に呼び掛け、三十人のうち十七人が賛同した」と伝えている。その賛同者の名前が、同時に受賞年順に紹介されている。

 一読して、中国新聞社はたいしたものだ、すごいと感心した。地方紙の鑑だとも感動した。だが、しかし、よくリストを読むと、どうもおかしい。肝心要のアメリカ人の受賞者やロシア・旧ソ連の大物受賞者がほとんどこの十七人には、存命なのに含まれていないのだ。リストに載っているのは、言葉は悪いが、核兵器廃絶にほとんど影響力のない、業績はもちろん、名前すら聞いたこともない小物(失礼)ばかりか、コスタリカとか、チベットとか、東チモールとか、バングラディシュとか小国出身者ばかりなのだ。

 問題なのは、賛同しなかったアメリカ人やロシア・旧ソ連人の、それも大物である。

 例えば、アメリカでは、『核兵器と外交政治』との著書もある国際政治学者で、米ニクソン、フォード政権の国務長官だったヘンリー・アルフレッド・キッシンジャー(1973年受賞、85歳)、ジミー・カーター元大統領(2002年受賞)、アル・ゴア元副大統領(2007年受賞)などは、ご存命なのになぜか賛同者として名前を列ねていない。

 一方、ロシア/旧ソ連では、なんと言っても、ミハイル・セルゲイビッチ・ゴルバチョフ元ソ連大統領(1990年受賞)が賛同者として名前を列ねていないのが寂しい。反体制派の原子核物理学者で、ノーベル物理学賞受賞者でもあるアンドレ・サハロフ博士(1975年ノーベル平和受賞)は、生きていたらきっと真っ先に署名しただろう。ただ、ベルリンの壁崩壊の年、1989年に死去したのは、残念だ。

 もっとも、日本の佐藤栄作元首相もノーベル平和賞を首相を辞めた直後の1974年に受賞している。非核三原則が評価されたものだが、今生きていたとしても、今回の宣言に署名したかどうか、どうも疑問だ。そう思うのは、小生の狭量のせいであろうか。

 こうした新聞には書いてないことを並べてみると、核廃絶の道がいかに困難で、実現の道ははるか遠いということを思わざるを得ない。それでも、あきらめない。その心意気が大事だ。2009.05.19 

 

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