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大は小を兼ねない ノドンとテポドン

 大は小を兼ねる。たいていの人は、このことわざがたいていの場合、当てはまると思っているだろう。しかし、そうでもないのだ。

 北朝鮮のミサイルが、三段式ロケットで、その先端に人工衛星か、核弾頭を格納したカプセルが乗る型であることが、北朝鮮が公開した今回の発射動画で分かった。テポドン2号である。まだ、開発段階の試射だが、射程距離は、うまく成功すれば、いったん大気圏外に出て、再び重力で引き戻されて地上に戻ってくる。その地上距離は約6000キロと言われている。据え付け型で発射のたびに移動するのは大きくて難しい。もちろん、日本をはじめ米国本土の一部、アラスカなどが射程内となる。改良型テポドン2号なら約40メートルの長さ。到達距離は約10000キロの大型。日本のHIIロケットより少し小さい程度。

 これに対し、一段式ロケット+カプセルというのがノドンで到達距離は1300キロ。これも高度はそう高くないが、いったん大気圏外に出て投げ出されたボールのように放物線、正確には楕円の弧を描いて大気圏に再突入してくる。日本全土がすっぽり到達距離に入る。これはすでに北朝鮮全土に数百基配備済みという。移動しながら発射も可能というから探知はより、難しい。長さは約20メートルと小型。

 今回話題になった長距離用のテポドン2号だが、日本にとって、本当の脅威は、テポドンではなく、ノドンであることはきちんと理解しておかなければならない。三段式ロケットのテポドン2号では、日本を攻撃することはできないのである。できるのは、比較的に短距離のノドンである。つまり、テポドンでは、その構造上、北朝鮮から近すぎて、日本列島はるか上空を飛びこえて大気圏外に飛び出してしまい、大気圏再突入して地上に戻って来たとしても太平洋上はるか東になってしまう。だから、アメリカにとって脅威なのはこのテポドンであり、日本の脅威はノドンなのだ。ロケットの場合、つまり、ミサイルに関する限り

 大は小を兼ねない

のだ。弾道がほぼ直線に進むピストルや大砲では、射程距離が長いものほど高性能で、近くから狙われる人も、遠くにいる人にとっても等しく、誰にとっても脅威だ。これに対し、放物線(正確には楕円の一部、弧)を描いて、相手方に届くミサイルは、大きければ大きいほど脅威というわけではないのだ。

 ニュースではこうしたことは言わないから、注意しなければならないだろう。その意味で、射程距離という言い方は正しくない。到達距離というのがまだ正しい。射程距離というのはピストルや大砲、ライフルの場合の言い方をそのまま借用した言い方で、ミサイルの場合に転用するのは分かりやすいが、射程距離内ならすべて破壊可能という印象を与える点で、誤解を招きやすく、正しくないというべきであろう。

 正しい言い方は、短距離型ミサイル=ノドン、中距離型ミサイル=テポドン2号、長距離型ミサイル=改良型テポドン2号、あるいは大陸間弾道弾(ICBM)という言い方が正しい。日本にとっての脅威は、短距離型ミサイルである。つまり、ノドンだ。もし、コントロール精度が高いならば、という前提があるが。それでも、数百発あるとなれば、下手な鉄砲、いや、いややめておこう。 2009.04.08

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