« 人生は夕方から楽しくなる 鬼才、若松孝二映画監督 | トップページ | 死因不明社会 見逃されている犯罪 »

それからの映画「おくりびと」  技術指導の葬儀屋送検

 アカデミー賞外国語部門を受賞した「おくりびと」を激賞する人は多い。主人公が最上川の流れる田んぼの真ん中でチェロを弾く姿も印象的だ。加えて、納棺師の主人公が死者の旅立ちを手伝う仕草や立ち居、振る舞いをみていると、自分のときもあんな風にしてもらいたい。死出の旅路の出発はああありたい。日本人なら誰しも、そう思ったであろう。

 ところが、主人公のこの立ち居振る舞いを技術指導した葬祭会社「札幌納棺協会」(札幌市)が、不用になった仏壇などを無許可で業者から収集、運搬したとして、仙台市から警察に廃棄物処理法違反の疑いで告発されたとベタ記事に出ている(4月22日付静岡新聞朝刊)。同警は、同社や社員を近く書類送検するらしい。

 このことと映画の評価とは直接関係ないと言えば、ない。しかし、いい映画を制作するということは、監督や登場人物だけでできるものではない。それにたずさわった人、つまり映画「おくりびと」を送り出した人、組織もそれなりに社会から評価される、とまではいかくなとも、まっとうな商売をしてほしいものだ。国内外から共感を呼ぶ映画はその時代を反映した文化の集成されたものだからだ。そう考えると、仏壇を無造作に、しかも違法に、廃棄物処理場に放り投げる葬祭会社からの技術指導とはいったい何だろうと思わずにはいられない。いや、葬祭会社の姿が、今の社会風潮であり、それが露見しただけのことであり、映画はしょせん、かなわぬ理想、虚構、ノスタルジーにすぎないとは思いたくない。

 技術指導にも教える人の品格がほしい。体裁さえ整っていれば、それでいいという社会はいびつだ。そのことを考えさせてくれた「おくりびた」だったはずである。

 ベタでも、ことは重大で見逃せない記事がある。そんなことを教えてくれた。2009.04.27

|

« 人生は夕方から楽しくなる 鬼才、若松孝二映画監督 | トップページ | 死因不明社会 見逃されている犯罪 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/44810834

この記事へのトラックバック一覧です: それからの映画「おくりびと」  技術指導の葬儀屋送検:

« 人生は夕方から楽しくなる 鬼才、若松孝二映画監督 | トップページ | 死因不明社会 見逃されている犯罪 »