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疑わしきは司法の利益に  横浜事件再審判決の怪

 少しオーバーに言えば、「過去に目をつぶる者は、現在にも盲目になる」とドイツの戦争責任について国民に自覚を促した演説(1985年)を思い出す。ワイツゼッカー・ドイツ国家元首の言葉である。横浜事件再審判決は、判例と法解釈のみごとなまでの整然たる論理の展開があろうとも、一言で言えば、裁判所が終戦直後のどさくさの中で出された有罪判決について、その責任をあいまいにして、

 疑わしきは司法の利益に

を地で行った判決であろう。静岡新聞社説=共同論説資料の社説も

 過去に目をつぶるのか

と主張した。

 そのほかの地方紙の社説はどうか、データベースで調べてみた。

 南日本新聞=心情に沿えばよかった/ 琉球新聞=贖罪の機会を失した司法

 北海道新聞=事実を見ずに幕引きか/東京新聞・中日新聞=冤罪の責任は司法にも

 信濃毎日新聞=司法の反省はどこに/  岐阜新聞=過去に目をつぶるのか

 京都新聞=名誉回復に遠い「免訴」/  神戸新聞=不問でいいか戦時下の闇

 愛媛新聞=なぜ司法の責任に向き合わぬ/ 北日本新聞=司法の過ちになぜ触れぬ

 ざっと、こんなものだが、特高警察による最大規模の言論弾圧と言われている横浜事件についての論調はほぼ同じと言っていい。残念なのは、この再審判決について、北國新聞は社説で取り上げていない。

  言論弾圧事件の舞台となった神奈川県の県紙、神奈川新聞は「司法の責任果たしたか」という社説を掲げ、最後に「司法の責任に及び腰の判決が残念でならない」と現在の裁判所の姿勢を厳しく批判している。

 ただ、全国紙はどこも取り上げていないのは不思議であると思っていたら、4月3日付朝日新聞の第二社説に、

 横浜事件/司法が背負う過ちの歴史

と掲載されていた。社説は「大島(隆明)裁判長は判決でも『免訴では名誉回復を望む遺族らの心情に反する』と理解を示した。裁判官の中にも、過去を直視する姿勢が芽生えたと信じたい」と結んでいる。不可解なのは、心情に反するにもかかわらず、無罪ではなく、有罪/無罪の判断を避けた「免訴」をなぜ言い渡したのか、ということだ。これまでの最高裁の解釈「免訴」に従ったからであろう。裁判官は法と良心にのみ従えばよいとしても、最高裁の判断とは異なる判断を、よほど裁判長に勇気がなければ、出せないという事情がある。裁判官も人の子だ。良心に従って、最高裁判断に逆らえば出世が停まるのだ。

 疑わしきは裁判官の利益に。無罪を勝ち取るためには、確実な証拠が要る。この「真理」は、冤罪に限らず、裁判官の世界に今も根強く生きている。2009.04.03

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