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天竜川下り  P.ローエル『能登』

 今日にも、北朝鮮が「人工衛星」としている弾道ミサイルが発射される午前8時、NHK番組「小さな旅 きらめく竜の背中で 静岡県・浜松」(4月5日放送)をのんびりと楽しんだ。騒々しい世の中、定年後の土日はフレームを変えて、日常生活を楽しむという習慣からだ。浜松に転居してきて半年、転職先のマスコミ会社にも落ち着いた。天竜川には興味を以前から持っていたから、楽しみにしていた番組である。というのも、今から、ちょうど120年前の1889年5月(明治22年)、火星人説を唱えて世界的な話題を呼んだパーシバル・ローエルが能登旅行の最後で天竜川下りをしている。日本ローエル協会運営委員をしている関係で、ローエルが体験した天竜川下りを一度はしてみたいと思っていたので、まずは番組で拝見したというわけだ。

 「あばれ天竜」と言われた天竜川の川下りの船頭は全部で15人。営業期間は3月20日から11月30日まで。船頭の中には、元競艇選手の永田孝さん(61歳)もいる。まだまだ「若手」らしい。川下りの場合、客を楽しませる案内役の舳先でこぐ「舳(へ)乗り」と、熟練を要する後方の「艫(とも)乗り」の二人が息を合わせて、客を楽しませる。いかに岸の岩場すれすれにたくみにこぎ寄せて客を楽しませるかが、艫乗りの腕の見せ所だという。

 50分の川下りのうちで、渓流釣りでのアマゴが紹介されていた。春を呼ぶ魚、春の味覚と言われているらしい。

 ところで、ローエルは、その著書『NOTO(能登)』の最後を天竜川にかかる橋、当時開通したばかりのJR東海道線にかかる天竜川鉄橋をくぐりぬけるところで紀行文を締めくくっている。そのくだりを紹介する。

 「午後のひとときは、すでにその終わりを過ぎて、太陽は遠くの小高い丘に沈もうとしている。東の方に目を向けると、東海道線の鉄橋が、四分の三マイルにわたるその長く横たわった姿を見せていた。大きなイモ虫が、川を跨いで乗っかっているように見える。舟はゆるやかな速度で、燃えるような日没の光を浴びている橋桁がたくさん並んだ鉄橋に近づいていった。/舟がその下を抜けていくと、鉄橋はぐるっと回転して向きを変え、突如として夕日を背にした不気味な、細長い影に変身していた。河口に近づいてゆくと、海の波の打ち寄せる音が、何か不気味な予感を感じさせながら、乳白色の東の空の方から聞こえていた。西の空はと仰ぐと、残照もまだ鮮やかで、黙って眺めていると、私は遠い西の彼方の能登の国への長旅を、海回りでしてきたような気分になっていた。-」

 私は浜松から静岡市への通勤でこのJR天竜川鉄橋を毎日朝夕二回通過しているので、とても印象深い一節となっている。この鉄橋からは海の波の音は聞こえないから、ローエルはもっと下流の、たとえば、国道150号にかかる遠州大橋あたりで下船したのではないか、一度たずね当ててみたい場所である。2009.04.05

 

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