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テニスのライン際「誤審」  審判員のせいにあらず

 プロテニスを見ていると、相手コートのライン際ぎりぎりを狙って打ったり、打ち返したりして、ラリーをしている。このライン際の審判員の判定が、コート内の「イン」か、それともコート外の「アウト」かで、テニスの勝敗が決まったり、流れを決めたりする。そしてまた、審判員も神ではないから、その「イン」「アウト」の判定を誤ることも時々あるだろう。ところが、誤審は必ずしも審判員個人の技量の未熟さが原因とばかりは言えないというのだ。

 3月22日付静岡新聞の科学欄に、「誤審多いのはアウト判定」というミニニュースが囲み記事風に出ている。見逃しやすいニュースだが、テニスプレーヤー、とりわけプロテニスプレーヤーにはミニどころか、大ニュースであろう。何しろ「テニスで打球がライン際に落ちる時、インと判定されるよりもアウトと判定される時に誤審が(明らかに)多いことを、米カリフォルニア大学の脳科学者らが突き止め、米科学誌に発表した」という内容であるからだ。ライン際に落ちた約4500事例(2007年のウィンブルドン選手権の試合)から、誤審となった約2%にあたる83件について、撮影されたビデオを使い、誤審の原因を詳しく分析した。誤審83例のうち、本当はインなのに、アウトと誤判定したのは70事例。これに対し、その逆の、本当はコートの外「アウト」なのに、「イン」と誤審したのは、わずか13例であった。これは、明らかに有意な差であり、単なる統計的な誤差ではない。ライン際判定は98%と、ほとんどは正しく判定されているわけだが、猛スピードでライン際にテニスボールが落ちる場合、人間の脳は、実際の球の着地位置よりも、球の進行方向(コート外)にあると認識する傾向があり、これが、「アウト」と誤審するのが多い原因らしい。もちろん、着地したとき球が静止すれば、こんな誤審はかぎりなくゼロに近くなるだろう。着地した時、テニスボールが猛スピードで動いていることから、球の飛んでいくより外側に落ちたと審判員の脳は認識するらしい。それでも、例外はあり、アウトなのにインと判定する場合も、誤審全体の15%あり、これは(4500例のうちのわずか13例=0.3%)、脳の働きの個人差というよりも、神ではない審判員のうっかりした「見誤り」であろうと考えたくなる。

ところが、そうでもないのである。人間は、さまざまな作業をする場合、通常の注意力の範囲では20回に一回はミスをするといわれている。これを少なくするに、ダブルチェックする。そうすると、400回に一回のミスに激減する。これを確率で表すと、0.3%ぐらいになる。先ほどの「イン」誤審率=0.3%と同程度になる。とすると、さきほど、「審判員のうっかりした見誤り」と書いたが、それは酷な話であり、一人の審判員の瞬時の判定としては、ダブルチェックにも等しい十分な注意を払った上での誤審であることが分かる。従って、ここらあたりが、人間としての限界なのだろうと考えるのが普通だ。テニスのライン際判定で

 誤審は、審判員の技量未熟のせいではなく、審判員の脳機能のなせる技

ということになる。審判員の技術ではいかんともしがたい、いわば不可抗力なのだ。だから誤審率を改善することは、判定を人間が行う限り、容易ではないだろう。そんなことをいろいろと考えさせる囲み風記事であった。2009.03.22

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