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2014年8月26日 (火)

佐鳴湖を潜水調査する

(2014.08.25)  昨年に引き続き、佐鳴湖講演会2014(8月17日、別項)を開いたが、講師としてお迎えした山室真澄(自然環境学、東京大学大学院教授)さんには、講演に先立ち、シジミ育成カゴのおいてある湖中の場所などいろいろな場所に実際に潜っていただいた。

 Imgp493620140816_2 宍道湖などほかの湖にも詳しい専門的な立場から、佐鳴湖の湖底状況を調査してもらい、その感想やコメントをいただき、今後のプロジェクトの方向をより的確に探るためである。

 潜水調査の結果に対する山室さんのコメントと感想を最後に掲載する(湖の地図は最後の「注記」に)。

 まず、シジミハウスを見ていただいた後、

順に北岸の北実験圃場、サギ島。

続いて南岸の新・新川にかかる拓希(ひろき)橋東側、

  最後に旧・新川の富士見水門下流にかかる佐鳴橋(入野中学校前、S字カーブ付近=「大屋橋の夕照」の標柱)付近

の調査を行った。

 調査には、山室さんのほか、協議会の戸田三津夫会長、細井芳弘、ブログ子、あらたに鈴木鉄也(西区西山町在住、光産業創成大学院大学バイオ分野客員教授)が参加した。

  ● 北実験圃場とサギ島の結果

 湖中に囲って設置した北圃場では、圃場より西側(新川河口)の湖底は、シジミとの相性の比較的よい砂地になっており、実験適地であろうとのコメントをいただいた。

 この日の調査のなかでは、ここが、湖底から見て自然繁殖のための実験圃場としては比較的に適地とのコメントをいただいた。 ただ、圃場の西側にヨシが湖に向かって伸びているので、このヨシ付近は黒いヘドロ状態になっており、ここのところだけは避けるべきだとの強いコメントがあったことは注目すべきであろう。

 ただ、その場合でも、堆積物(流れ場)としては最適だが、別の観点、つまり塩分環境から見ると、自然繁殖までは、なかなかむずかしいのではないかとの指摘もしていただいた(これに関連した総合的なコメントについては、ブログ最後を参照)。

 また、現在設置している圃場自身は黒い泥状態になっており、適地ではないかもしれない。また、圃場の東側はどうも育成には向かない汚泥。

 また、設置圃場から湖心に向かうと、数十メートル先で、シジミ育成に不都合な「がれき状態」が突然黒い泥底状態に落ち込んでいた。湖底の泥に足がとられる状況であることがわかった。つまり、砂地はほとんどない状況である。とても、シジミ育成には適さない。

 続いて、サギ島。

 同行した鈴木さんによると、もともと、鈴木さんが子供の頃には、つまり、50年前にはこんなサギ島はなかった。

 ここでも、サギ島の西側、つまり、湖に突き出たヨシ側が砂地であり、比較的に適地(段子川河口付近)。ただし、北実験圃同様、西側のヨシ付近はヘドロ状態で不適。サギ島までのど真ん中の湖底は、胴長の靴底からも想像できたが、がれ場か丸い小石(グリ石)であり、シジミ育成場としては不適。

 グリ石など大きな石があるということは、水流が速いという証拠であり、シジミ育成場としては好ましくない。場合によっては毒物も運ばれてくる。またその場合、シジミは「断食」状態に自ら置くことになり、シジミとグリ石とは相性が悪い。

 サギ島自身の干潟はグリ石もあるが、砂地でもあり、適地かもしれない。

 写真上= 北実験圃のあるところから湖心に向かって数十メートル先、このあたりから急に礫(れき)が落ち込み、泥となり深くなる。中= 落ち込んだ先は黒いヘドロ状態。下= 調査結果の岸辺検討会(北圃場への入り口。奥が新規加入の鈴木鉄也さん。右が戸田会長。左端は細井芳弘さん)。

  4枚目の最下段= サギ島の西側に繁茂するヨシ付近の調査。黒いヘドロがたまっている。

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 ● 南岸 拓希橋東側と佐鳴橋S字カーブ付近

 いずれも、部分的ではあるが、流れのゆるやかなところには、シジミの自然繁殖に適した砂地があることが確認された。

 S字カーブ付近では、佐鳴橋のたもとにある「大屋橋の夕照」標識柱から、高台の入野中学校舎に向かって水路を見た場合、流れのゆるい手前側に砂地がある。

 写真上= 拓希橋東側(調査直前。流れのゆるやかなこの手前あたりが砂地)、中=佐鳴橋真下の様子で、写真のような大きなグリ石があった。下= 水門下流のS字カーブの流れのゆるやかなところ。砂地が見つかったのはこの写真の川の向こう側付近。右端は佐鳴橋)。

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 ● 調査した山室真澄さんのコメント&感想(要約)

  Imgp496820140916_2 「掛け流しではシジミが大きくなるのに、佐鳴湖の現場でなかなか増えない最大の原因は、底質であると確信しました。当初はヘドロが問題だと思っていました。

  が、素潜りの結果、礫(れき)が問題だと気づきました。

 シジミの産地であんなに礫がごろごろしているところはありません。佐鳴湖はいつからあんなに礫だらけになったのか、それとともに生態系が変化していないか、そんなことも次の課題ではないかと思います」。

 最後に総合評価についてのコメント。

 「塩分と堆積物の総合点で見ると拓希橋東側と佐鳴橋S字カーブ付近が適地だと思います。ただ、それでも、ここは下流なので、通常では、あんなに石がごろごろしているはずがないと思います。その原因としては、おそらく河川改修の際に持ち込んでしまったのだろうと考えています」。

 ここにプロジェクトがめざす自然繁殖のための条件づくりの課題が浮かび上がったといえる。その意味で、今後のプロジェクトの方向を示唆する、あるいは探る重要な潜水調査だったといえるだろう。

 なお、山室さん自身のブログ「水から考える環境」にも

 「お手本にしたい佐鳴湖」

というタイトルでこの潜水調査の感想が綴られています(2014年8月17日付)。

 こちらです。

 この記事だけではなく、シジミなど自然環境と生物についての話がいろいろと書かれています。たとえば、ふるさと納税の活用にもふれているなど、視野の広い話が展開されている。

2201420816cid_0a2c8f7709c34591a22_4     

     ( サギ島の育成カゴ付近の潜水調査を終えて)

  ● 湖周辺の地図(浜松公園緑地協会「佐鳴湖公園」パンフより)

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コメント

先生のウェットスーツは新品かなぁ。
この場所ではフィンは要らないかも。マスクの使い方も・・・

投稿: かっぱ | 2014年9月16日 (火) 00時53分

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