「佐鳴湖講演会 2016夏」のお知らせ
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(2016.03.15) 宍道湖はその美しい夕日で全国に知られている。その絶景ポイント近くに
日本一小さな研究所
がある。シジミ博士(水産学)として知られる中村幹雄さん率いるわずか10坪ぐらいのスペースしかない日本シジミ研究所(島根県松江市)である。場長だった島根県水産試験場を早期退職し中村さん1人で立ち上げてまもなく14年、今ではシジミに魅せられた若者男女10人以上が調査に毎日汗を流しているという。研究所は狭いが、自慢は調査船が10隻以上もあることだ。
ブログ子が、そんな研究所を宍道湖で早朝操業するシジミ漁船のなかから拝見したのは、昨年9月だったが、先月2月、佐鳴湖シジミプロジェクト協議会が企画した講演会
汽水の恵み -ヤマトシジミ -
の講師としてお招きした。その折、浜松市内で酒を酌み交わしながら、お話を聞く機会にめぐまれた(写真右=浜松市内の居酒屋風ダイニングで)。お酒も適度に回り、いろいろな話がでたところで、研究所の運営について聞いてみた。
「オレについてこいということだ。本気で研究所で働くつもりならば」
という強いリーダーシップだった。オレの子分になる気があるか、というのだ。これこそ小回りの効く研究所の持ち味を引き出すコツであると言いたかったのだろう。
いかにも、定年を待たずに早期退職した中村さんらしい。大学卒業と同時に、アフリカのケニアに青年海外協力隊員として2年間出かけた中村さんの個性ともいえる。これには卒業した北大というユニークな校風もまた影響しているにちがいない。
そんな話を聞いた翌日、講演を聞いたわけだが、講演中も、終わったあとの行政も含めた参加者たちとの間の活発なやり取りの間にも、しばしば
「本気でやるのならば」
という言葉を使っていた。これが元行政組織の長であった中村さんから発せられると、辛口の鋭い響きに聞こえる。大きな組織にかぎらず、その場かぎりの事なかれ主義があまりにも多い。中村さんはこのことと、40年以上も闘ってきたのだろう。
そこには、小さくはあっても研究所をなんとか率いてきた男の志操と誇りが込められている。そして、それは、ブログ子たちのシジミプロジェクト協議会の活動のあり方に対しても向けられているのだと感じたし、真摯に受け止めなければならないとも思った。
● 来年秋、松江で全国シンポ
シジミとかかわってかれこれ40年、中村さんは、今から10年前に
「シジミの日」(4月23日)
を日本記念日協会に登録した。細る一方のシジミ漁やシジミそのものについて考える機会と位置づける。これにはかつてのように放っておいても、湧くように漁獲できた時代はもはや遠くすぎたという思いもあろう。
宍道湖のシジミ漁船の上で、ブログ子は、
そんな男にほれられた宍道湖のシジミはなんと幸せなんだろう
と思ったものである。
中村さんは、その愛情の総仕上げとして、
来年秋、全国シジミシンポジウム
を松江市で開きたいと、今、再調査も兼ねてせっせと全国の汽水湖行脚を続けている。
ここに、厳しさと誇りとは別の、シジミにそそぐ心温かきもうひとつの熱情を感じるのは、ブログ子ひとりだけではないだろう。
● 補遺 同行のシジミ研究所研究員杉山ゆかりさん
佐鳴湖シジミハウスで
ハウス排水口付近で(右奥はせせらぎ水路)
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(2016.03.01) 口頭発表にはなかったが、パネルセッションで、佐鳴湖シジミプロジェクト協議会の辻野兼範さんが、東岸中央にある浄化施設に隣接して設けられた親水空間、せせらぎ水路でのシジミ自然繁殖実験の結果について、過去数年間の試みとも比較できるようまとめて報告を行った。
試験実施の中心となっていた同協議会の佐倉康男さんもその発生概要を協議会にすでに報告していたが、計測と考察も踏まえて外部への詳しい結果報告は、今回が初めて。
この結果は、比較的に水環境のよい
親水空間、せせらぎ水路での自然繁殖による大量の幼貝発生の可能性を示唆するもの
であり、ここにパネル掲示をそのまま紹介しておく。今後の確証試験と発生の分析が待たれる。
なお、大量発生の現場となっと当時(2015年10月31日)の様子も写真などで紹介しておく(写真上=東岸のせせらぎ水路、と以下)。このスナップからもわかるが、この日は県立浜松大平台高校生ボランティアも総出で作業を行っている。
写真下は引き上げ直後の様子(白く輝いているのは1円玉=直径20ミリ)
● パネルセッションの発表
● 現場の様子
ザル内一掴みの様子
調べた貝の様子全景(1円玉付き)
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(2016.02.24) 佐鳴湖の塩水化に伴う魚類を中心とした生物相を長年にわたり調査してきた藤森文臣さんによる生物に与える塩水の影響について、これまでにわかった調査結果が紹介された。とくに、2000年に浜名湖と佐鳴湖とをつないだ放水路の運用による影響が実際にどの程度のものなのかということが注目された。
その結果、塩化イオンの濃度が、湖心で1980年代に比べて、放水路完成後は倍増加しており、それに伴って最近の魚相も海水性の魚類を中心に、あきらかに変化していることが読み取れた。にもかかわらず、これまでの調査および記録は十分ではないとの認識も示されており、今後も同様の調査を継続して行っていく必要性が、水産資源の確保の上からもあらためて強調されている。
発表の詳細は以下の通り。
● 発表
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(2016.02.21) 佐鳴湖交流会2016におけるシジミプロジェクト協議会会長の戸田三津夫さんの発表、
の発表概要は以下の通り。
佐鳴湖の流入河川の水は三方原のどのあたりから、どのくらいの水量でやってきているのかという調査を水分子の安定同位体分析で追跡したもの(塩水希釈法)。採取した水に含まれている同位体比率による比重の差からその出所を突き止めようという手法である。重い水分子は低空で降雨となり、軽い水分子は高高度で降って来て、段子川に流れ込み、やがては湖に入ってくるという状況を踏まえた調査である。
ただ、比重や濃度は比較的に容易に知ることができるが、全体の水量、流量の推定となると、混合不良などなかなかの困難が伴う。
とはいえ、佐鳴湖というのは、三方原台地に降り注いだ雨水が地下水となって谷に向かって流れ込む湧き水を砂州がせき止めてできたという構造になっていることに着目した調査手法である。
調査結果から、湖の水量を確保する具体策として、地下からの湧水箇所で、三面張りとなっている河川床の一部を取り除いて河底に穴をあける改善策を提案している。まだまだ北岸あたりには豊富にあるはずの地下からの湧き水をもっと活用しようという提案として注目されている。
●発表
● 提案 湧水ポイントで河床コア抜きで河川改善
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(2016.02.20) 佐鳴湖地域協議会(事務局=静岡県浜松土木事務所と浜松市環境保全課)が主催する第5回目の
佐鳴湖交流会(静大浜松キャンパス、佐鳴会館)
が2月13日土曜日午後に開かれた(写真右。午前は湖の市民による定期水質調査)。基調講演は佐鳴湖シジミプロジェクト協議会が企画した
汽水湖の恵み - ヤマトシジミ -
で、講師は中村幹雄氏(日本シジミ研究所所長、松江市)。
基調講演の内容と、交流会のプログラムは次の通り。
以下順次、ポスターセッション発表も含めて、その内容を特集として紹介する(写真は、ダブルクリックで拡大可能)
● 汽水の恵み ヤマトシジミ
● 佐鳴湖交流会2016プログラム
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